新型コロナウィルス感染拡大は東南アジア諸国にも及び、医療体制の脆弱(ぜいじゃく)な国の人々が脅威にさらされている。インドネシアの西カリマンタン州で長年宣教活動を行っているインドネシアミッションの報告では、4月13日現在で国内の感染者4千500人、死者400人にものぼっていると現地から祈りの要請があった。(5月20日現在では感染者1万9千189人、死者千242人)。
同ミッションは現在カリマンタンでATI神学校、中高生のための三つの寮、プニティ・アナスタシス教会を現地宣教団体と共に運営し、神学生の育成や地元を離れて学校に通う学生たちの支援を行っている。イスラム教徒が80%を超える国で困難を伴うキリスト教宣教の一端を担ってきた。
カリマンタン宣教のスタートは1974年。アンテオケ宣教会から派遣された安海靖郎宣教師夫妻によって開かれた。安海夫妻はATI神学校の設立に尽力、90年に4代目となる安東栄子宣教師のときに初めての卒業生を送り出すことができたが、卒業式翌日に安東宣教師が交通事故で亡くなるという試練もあった。事故現場に建てられたのがプニティ・アナスタシス教会。5代目の大田裕作宣教師が中心となって会堂建築されたが、一度は反対派によって打ち壊しに遭った。住居として建築許可をとり、外に十字架を掲げないことで再建築に漕ぎ着けた。
6代目を引き継いだのは、同ミッション代表で、今年4月に関西聖書学院(奈良県生駒市)の学院長に就任した髙橋めぐみさんだ。2000年から17年間宣教に従事。学生寮を二つ増築し、子どもたちの教育、生活、霊的環境の整備に尽力。奨学金プロジェクトも立ち上げ、貧しくて進学できない子どもたちを支援している。
寮の卒業生たちは教師や看護師や牧師、専門学校に進学する人もあり、直接的間接的に貧しい故郷の村の発展に尽くせる人材の育成に貢献してきた。神学校の卒業生の中には、日本のインドネシア教会で牧会している人々もいる。そこでは日本人も救われているという。
「寮で訓練された学生が村に帰ると、無牧の教会で教会学校や礼拝でメッセージを任されます。その部族のことばで福音が語られる、それが大事なことなのです。村のリーダー的立場になり、霊的な指導者となれば、信仰が整えられ、村全体が変わります。リーダーを育てることで、地域が変わるのです」
「人がカギ」だと、髙橋さんは確信している。、、、、、

2020年5月31日号掲載記事